非常照明の設置場所
非常灯または非常照明と呼ばれる「非常用の照明装置」は建築基準法施行令第126条の4に基づき設置します。
非常照明の設置場所
まず設置場所は不特定多数が使用する建物、介護などを必要とする人が利用する建物、大規模な建物などの居室と 地上出入口までの通路などで、具体的には下記のとおりになります。
- 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場などの居室 <法別表第1(い)欄(1)項>
- 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設、助産所、身体障害者更生援護施設(補装具製作施設及び視聴覚障害者情報提供施設を除く)、精神障害者社会復帰施設、保護施設(医療保護施設を除く)、婦人保施設、知的障害者援護施設、老人福祉施設、有料老人ホーム又は母子保健施設などの居室 <法別表第1(い)欄(2)項、令第115条の3一号、令19条1項>
- 博物館、美術館、図書館などの居室 <法別表第1(い)欄(3)項、令第115条の3二号>
- 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を営む店舗(床面積が10m2以内のものを除く。)の居室 <法別表第1(い)欄(4)項、令第115条の3三号>
- 階数が3以上で延べ面積が500m2を超える建築物の居室
- 採光上有効な開口部の面積が、床面積の1/20未満の居室
- 延べ面積が1,000m2を超える建築物の居室
- 上記の居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路、並びに照明装置の設置を通常要する部分
非常照明を設置しなくてもよい場所
ただし設置しなくてもよい場所もあります。 <令第126条の4、令第126条の2二号>
- 一戸建の住宅、長屋若しくは共同住宅の住戸
- 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室など
- 学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場
- 採光上有効に外気に解放された通路
告示で設置緩和されています。<平成12年建設省告示1411号第一号>
- 避難階の居室等で、出口までの歩行距離が30m以下で、かつ避難上支障のないもの
- 避難階の直下階又は直上階の居室等で、避難階の出口まで歩行距離が20m以下で、かつ避難上支障のないもの
- 避難階の直下階又は直上階の居室等で、屋外の(法令上の)避難階段までの歩行距離が20m以下で、かつ避難上支障がないもの
平成30年3月に緩和が拡大されました。<平成12年建設省告示1411号第二号>
- 床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口を有するもの
- 床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分に非常用の照明装置が設けられたもの
- 床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が採光上有効に直接外気に開放されたもの
設置しなくてもよい箇所を事前に建築主事さんなどに確認しておくことによって、コスト縮減が図れる場合があります。逆に言うと非常照明を設置すること自体は安全措置であるので、設置しなくてもよい場所に計画することで「設置することはまかりならん!」と建築主事に指摘を受けることはありません。そのまま計画が進んでしまう可能性もありますので、コスト抑制のためにも法令をよくチェックしていきたいですね。